50tラフターの業界大混乱! 50tラフターオーダーに対する正解とは?
東京、大田区から全国へ。オペレーター付きクレーンレンタル、重量物吊り上げ作業、各種ラフタークレーン/オールテレーンクレーンの作業・手配を手がけている丸良興業です。
ラフタークレーンにオールタークレーン、ブームの長さに車幅、揚重重量、t数・・・
クレーン車は作業内容や現場の周辺状況などによって、適切な車種選定が難しい重機です。
お客様の要望に沿う「最適なクレーン車」を選定・手配することこそ、クレーン会社の務めとも言えるでしょう。
しかしながら、なかにはお客様の発注通りに対応することで混乱を招くケースがございます。
問題のクレーン車とは、ズバリ……「50tラフター」です。
本日は、なぜクレーン業界で50tラフターが混乱を招いているのか、クレーン車の歴史を紐解き、順を追ってご説明していきましょう。
想像してた50tラフターと違う?当日発覚する「作業不可能」
50tラフターのオーダーが混乱を招く理由は、お客様とクレーン会社との間で”50tラフターの認識”にズレが生じていることにあります。
50tラフターに「2軸」を想定されてオーダーをされるお客様は少なくありません。
しかし、実際にやってくる50ラフターは「3軸」である可能性があります。
現在多く稼働している「現行の50tラフター」は、昔の50tラフターとは仕様が異なっており、2軸車を想定してオーダーしてしまうと、認識違いによる発注ミスが起こりうるのです。
想定していたよりも”一回り大きい”50tラフターが現場に到着しても、予定していた駐車位置に進入できないばかりか、作業中断を余儀なくされることにもなりかねません。
事前確認で未然に防げそうなミスにも思えますが、ここには深いクレーンメーカーの開発の歴史が関わっています。
50tラフターの発注に関するトラブルは後を経たず、業界を混乱させている問題です。
なぜ、そんな事態を招いているのか。
20年前のクレーン業界の事情から紐解いて解説していきましょう。
一世を風靡!なぜ50tラフターは革命的だった?
(写真は50tラフターの代わりに手配することの多い60tラフター)
ラフタークレーンの魅力は何といっても、現場到着から作業までのスムーズさ、利便性にあります。
特に弊社が所在する東京などの都市部では、作業スペースを満足にとれない狭小地の現場も珍しくないため、ピタゴラスや小回りの効くラフタークレーンは重宝され、様々なシーンでの活躍が期待されています。
クレーン車の技術の進化は日進月歩。
ラフタークレーンの進化、車種の展開にも歴史がございます。
現在から遡ること約20年前。
当時のラフタークレーンは7tや8t、10tといった小さい車種が展開されており、20tラフターにはまだチルト機能がなかった時代です。
パフォーマンスを底上げする「チルト」や「孫ジブ」も搭載されていなかったため、対応可能な作業範囲も今ほど広くなかったのです。
小型のラフタークレーンで太刀打ちできない現場には100tクラス、4軸の「オールタークレーン」が駆けつけていたのですが、オールタークレーンは作業前後に「組み立て・解体」の工程も必要とするため、機動性を考慮する必要があります。
つまり、要望に対してクレーン車の選択肢が少なかったことが20年前のクレーン業界でした。
現場の声に応えるように、クレーン車開発メーカーの二大巨頭「株式会社タダノ」「加藤製作所」が製造を始めたのは、二軸”かつ”重量級のラフタークレーンです。
20t、25t・・・。
ラフタークレーンも徐々にt数が大きくなる中、ついに大台50tラフタークレーンが発表されることになります。
2軸だった50tラフタークレーンは「油圧チルト」も採用されており、小回りの良さにパワーまでプラスされた”画期的”なラフタークレーンとして一躍脚光を浴びました。
「特殊車両通行許可」厳格化が50tラフターに大きく影響
その後も60t、65tと、次々に2軸の重量級ラフタークレーンが開発されていくのですが、時を同じくして安全面への配慮より「特殊車両通行許可」の規制が厳しくなります。
50t以上のヘビー級のラフタークレーンは2軸で作れなくなってしまったのです。
この取り締まりの強化により、大型のラフタークレーンは大きな転換期を迎えることになりました。
それから入ってくる50tラフターのオーダーには、60tを手配するなどで各社クレーン会社は対応していました。
その後、10年余りの歳月をかけてタダノ社や加藤製作所社が70t、75t、80t、85tと、重量ラフタークレーンの開発を続けるのですが、特殊車両通行許可の規制がシビアになってからの重量級ラフタークレーンは「4軸」で作られていったのです。
いずれのラフタークレーンも車幅は3m程度に設計されておりましたが、これまで現場で活躍していた2軸クレーンと比較すると、全長は長くなります。
1mほど長くなってしまった4軸の車両に、発売当初、現場は困惑しました。
このように、歴史を振り返ると今なお業界が混乱している50tラフター問題の根本は、
「特殊車両通行許可の規制が厳しくなったこと」
そして、それ以降の
「重量級ラフターの車軸を増やさざるを得なかった」
というこの2点に由来していると言えます。
しかし、この話は約10年も前。
次に現在の50tラフターのポジションを確認していきたいと思います。
50tラフターの現在。
「昔の50tラフター」の依頼に、「今の50tラフター」を配車してしまう問題!
2軸の50tラフターは製造できないが、4軸車の全長に現場は困惑している。
以上の背景を受けて、ここ10年もの間で各社クレーンメーカーは3軸の50tラフターの開発に乗り出しました。
4年程前に発売された現行の50tラフターは、それぞれのメーカーでブームの長さが異なっています。
昔は2軸の50tラフターをオーダーするとブームが44mありましたが、現在の3軸の50tラフターは、ブームが38mの車種と、40mの車種。以前と比べて短くなっています。
ブームは数mの差で対応可能な作業が全く変わってくるため、この改変は把握しておきたい内容です。
50tラフターのオーダーに注意しなければならないのは、このように過去の50tと現行の50tで仕様が変わってきているためです。
2軸車を想定してオーダーしても、到着したのが3軸車だった、ということは大いにあり得ます。
現場で3軸であることが発覚し、作業予定が大幅に狂ってしまうことも考えられるため、50tラフターをオーダーする際には必ずクレーン会社と認識を合わせておきましょう。
丸良興業では、お客様に配慮し「50tラフター」のご依頼に対しては、特に注意を払い工事内容を詳しくヒアリング。
2軸の50tラフターのイメージでご依頼くださるお客様には、特殊車両通行許可が厳しくなる前に製造された2軸の60tラフター/65tラフターが3台ありますので、それらを配車することで対応しています。ブームも44mあります。
60t、65tの一昔前のクレーンを、現役で稼働させられるのは小まめな整備あってこそです。
丸良興業は会長がクレーン修理工の出身であるため、自社内で整備のノウハウを確立しています。
50tラフターのオーダーに対して適切な回答を導き出せるのは、弊社ならではの強みでもあるのです。
ニーズを汲み取る、丸良興業の提案力
クレーン会社の仕事は安全性を遵守し、クレーン車を正確に操作するだけではありません。
冒頭にも書いた通り、お客様の要望を叶える適切なクレーン選びから始まっております。
すなわち、「お客様の要望を真に噛み砕けるかどうか」。
汲み取る能力と、実績が裏付ける提案力が求められると考えております。
弊社では現地調査にお伺いし、しっかり道路の幅や周辺の寸法を測定し、車両の選定を行っています。
狭小地、電線の問題など、複雑な現場もお気軽にご相談ください。また、各種書類申請も自社で行っており、お客様の負担を軽減します。
本日は身近な例として50tラフターを取り上げましたが、現在のクレーン業界では2軸車を見かける機会がどんどん少なくなってきています。
ぜひ50tラフターをご依頼される際には思い出していただけますと、事前のトラブル回避に繋がります。
弊社は最大限お客様の不安を解消し、困難な現場であっても最適解をご提案させていただきます。
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クレーンの仕事に興味のある方は、いつでもお気軽にご相談ください。