100tクレーンと200tクレーンの違い
東京、大田区から”全国へ”。
クレーンレンタル、重量物吊り上げ作業、各種ラフテレーンクレーン・オールテレーンクレーンの作業・手配を手がけている丸良興業ブログ担当です。
クレーンの車種には様々ありますが、その違いはラフテレーンクレーン(通称:ラフター)とオールテレーンクレーンの違いだけではありません。
種類によって特徴が異なることをご存知でしょうか。
最近ではブーム性能もどんどん改良されていて、コンパクトでもパワーのある車種が出てきています。
また、最大吊り上げ能力によっては車体の作りも変わってきます。
車種の選び方にお困りのお客さまからよくご連絡をいただくのですが、
今回はそのようなお悩みの方に向けて、よくご相談をいただく100tクレーンと200tクレーンのご利用シーンの違いについてご紹介したいと思います。
■なんと100tのラフテレーンクレーンが登場!
はじめに、100tクラスのクレーンになると、オールテレーンクレーンが主流です。
しかし、つい最近その常識を覆す車両が現れました。
タダノ社から発売された「GR-1000N」という、ブーム性能が100tのラフテレーンクレーンです。
これまでオールテレーンクレーンでしか対応できなかった作業にも、ラフターが活躍の場を広げてきました!
これによりさらにオールテレーンクレーンとラフテレーンクレーンの境界がなくなってきました。
そして丸良興業でもこの車種の導入を進めています!
さて、それでは本題についてお話していきましょう。
■オールテレーンクレーンは分解が必要!?
吊り上げ能力の高いオールテレーンクレーンには、運搬走行時に車体を分解しなければならない車種と、分解の必要がないものとがあります。
以前別の記事(初めてクレーン作業依頼をお考えの方へ。 ラフテレーンクレーンとオールテレーンクレーンの違い。)でもご紹介しましたが、組み立てが必要な車種の場合、それにより作業における輸送コスト、作業時間などが変わってきます。
例えばブームだけではなく操縦席であるオペハウスや旋回体も組み立て式の、車体が3分割になっている車種があります。そのような車種の場合、それぞれの各部を運ぶ輸送のための車両や人件費もそれだけかかります。
■最大吊り上げ能力によっては、組み立てがいらない!
実は現状、性能吊160t以上のクレーンには組み立て式の車種しかありません。
これらを使用した揚重作業の際には、組み立てるスペースと時間を要します。
しかし、それより軽いクレーンで作業が済む場合、140t以下であれば同じオールテレーンクレーンであっても組み立てのいらない車種もあるのです。
一昔前は、性能吊が100tを越えてくると車両走行時には必ずブームを外さなければならなかったのですが、最近では性能の改良が進み140tクラスまで分解のいらない車種が出ています。
これにより作業時間が短縮され、設置もスムーズに進められるようになりました。
丸良興業でも100t、120t、140tと、組み立て不要のオールテレーンを手配〜作業実施まで対応可能です。
現場の状態、作業環境を見極め、適切な車種の選定をしております。
>■ラフターの100tとオールテレーンクレーンの100tの違い
それではラフターの100tとオールテレーンクレーンの100tは性能がどれくらい違うのでしょうか。
ラフター100tの性能であれば「15tのユンボ」をビルに乗せると考えると、7~8階くらいが最大です。
一報、オールテレーンクレーン100tの場合では同じ「15tのユンボ」をおよそ10階くらいまで持ち上げることができます。
この違いが後ほど下記でご説明していますが、背負えるウェイトの重さの違いです。
・ラフター100t → 4t
・オールテレーンクレーン100t → 15t
これだけ違うのです。
オールテレーンクレーンのほうがどしっとウェイトを背負い込めるのでそれだけ11t分吊れる重さが違うのです。
またブームの強度も大きく異なります。
■200tクラスのクレーンはさらに背負えるウェイトの重さが違う!
そして200t以上のオールテレーンクレーンについてです。
100tと200tも、大きな違いは車体が背負えるウェイト(カウンターウェイト)の重さです。
クレーンの持つ本来の性能を、最大限発揮させるためにはこのカウンターウェイトの積載は不可欠です!車体のみの重量だけでは軽すぎてしまい、揚重の際バランスが取れませんが、十分なウェイトを載せてあげることで、車体の重心バランスを安定させ、重いものも倒れず吊り上げることが可能になります。
性能吊220tのクレーンになると、74tまでウェイトを積載できます。
しかし当然、性能吊が上がればそれだけブームは太くなり、分解してトレーラーで運搬することになりますので、作業時間と運搬費は発生します。
■200tクレーンはこんなシーンで活躍しています!
クレーンの重さに比例して「コンマ7」(23t)のユンボを吊りあげることが出来るのが200tクラスです。弊社でもコンマ7のユンボを吊りあげる作業の際に1番活躍するクレーンがです。
また一回り小さいユンボ「コンマ45」であれば、高さもより高いとこまで吊りあげることができるようになり、「コンマ25」の揚重なら距離も高さも求められるようなシーンで活躍できる器用さをも兼ね備えています。
吊りあげるものもユンボばかりではなく、「歩道橋の撤去」や、高速道路工事での「道路桁」の揚重時にもそのパワーを発揮してくれます。
クレーンのパワーは車種によって変わりますが、クレーン車で作業をする時に考えなくてはならないことは
「高さ」×「奥行き」×「重さ」のバランス
であるのです。
■こちらの比較も参考までに!100tラフタークレーンと120tオールタークレーン。比べてみたらこんなにも違った!
突然ですが、今ダントツで需要があるのが100tラフタークレーンなのです。なぜ?!今までは近いものでは70ラフタークレーンや120tオールテレーンクレーンも同じくらいお問い合わせがあったのに、最近では100tの依頼が圧倒的に多いのです。そのわけをちょっとだけ教えちゃいますね。
まず、機動力の違い。
オールテレーンクレーンはブームの伸縮に時間がかかるという弱点があります。伸ばしていたブームを縮めるのに20分以上かかることもざらなので、ちょっと移動したいという時にすぐに動くことができません。一方ラフタークレーンはブームの伸縮に要する時間がオールテレーンクレーンの半分ほど。この差は大きいですよね。機動力の違いは現場の進捗に大きく影響するので選ぶ際には注意したいところです。
他には、操作性にも違いがあります。
オールテレーンクレーンは運転席と操作席が別々になっています。なので、一回停車する→降りる→操作するというように、毎回このプロセスを踏まなくてはなりません。例えばアウトリガーを縮める際にも、一回下に降りてからエンジンをかけて、ピンをいじって、タイヤの油圧を変えて…となるのでなかなかの手間ですよね。オールテレーンクレーンにはエンジンが2つ搭載されているのでこのようなことになるのです。
しかしラフタークレーンにはその必要がありません!エンジンが一つなので運転をしながら操作が可能ということです。狭い場所に進入するときなどはブームを旋回しながら入っていけるので無駄なく作業ができます。優れた操作性は時間の短縮にもなり、さらにはコストカットにも繋がりますね。
操作性においてはラフタークレーンに軍配が上がりますが、もちろんオールテレーンクレーンにも安定性や圧倒的なパワーを持ち合わせているという点で優れた部分は多々あります。要は、作業に応じて最適な一台を選ぶことが重要なのです。
おまけ:100tラフタークレーン作業事例:あの重たいバックホーが宙吊りに!
100tラフタークレーンの作業事例として、大型商業施設の解体現場で使用する重機を屋上にあげる作業のお話をします。ここでは屋上にバックホーを降ろす際にそこの様子がこっちからは全く見えなかったので、無線を繋いでやりとりをして微調整しながらの作業でした。100tのラフタークレーンは最大48mまでブームを伸ばせますが、このときはバックホーの重量を踏まえて31mまで伸ばして吊りました。伸ばせば伸ばすほど吊り上げ可能な重量が少なくなってくるので、その辺の事前のシミュレートもしっかりしてやりました。最適なクレーンを選んだ上で、その性能も熟知していないとできない技ですね。経験がものをいう作業でした。
・・・
いかがでしたでしょうか。
余計に混乱させてしまった気もしておりますが、、、(汗)
車種選びには、作業をスマートに進行させる車体の性能と、最大吊り上げ能力、どちらも考慮して選定しましょう!
そして、わからないことはお気軽にこちらからご相談ください!
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