急務は未来の「土木施工管理技士」育成。現場40年、平島が憂う日本の建築の将来性
東京、大田区から全国へ。オペレーター付きクレーンレンタル、重量物吊り上げ作業、各種ラフタークレーン/オールテレーンクレーンの作業・手配を手がけている丸良興業です。
ありがたいことに、歩道橋撤去のご依頼が相次いでおります。
先日は県の境を越え、埼玉県からも歩道橋工事のご相談をいただくことができました。
行政のご相談は会社の実績が伴って初めていただける仕事。
その背景には、絶えず試行錯誤を重ねクレーン技術を進化させてきたこと、そして大手ゼネコンで長年インフラ工事に携わってきた工事部 平島(68)の土木施工管理経験も大きく寄与しています。
「クレーン ✕ 土木」
私たちは、丸良興業にしかなし得ない技術を確立できつつあります。
そして、世代を越えてもその技術を繋いでいけるよう、
土木施工管理者を大募集しています!
建設業界全体で施工管理者が少なく、ノウハウを身に付ければ将来性が見込める職業。
今回は、丸良興業でも多数、歩道橋撤去工事の指揮をとってきた平島に、「建設業の昔と今」「施工管理者の将来性」まで聞いてみました。
建設業界に対する率直な想いが込められています。
工事部 平島 の経歴
造船業の鍛冶職人から歩み始め、鍛冶・溶接の技術は地元静岡県内でも表彰されるほど。
これまで大手ゼネコンの海外での地下鉄工事などインフラ整備をいくつも手掛けてきた土木工事のエキスパート。
公共工事においても、行政の工事仕様を深くまで把握し、精通しているからこそ法令を準拠した提案ができる。
土木施工管理技士の将来性とは?
【1】 波乱万丈の40年前の現場を振り返る
早速ですが、これまでの平島さんの歩みを教えていただいてもよろしいでしょうか?
工業高校と専門学校を卒業した後、様々な土木仕事の現場に携わってきました。
地下鉄トンネルの工事もあれば、豪雪の降るなか、新潟県は上越の山頂でスキーリフトの設営を敢行していたこともあります。
カッコ良く言えば「波乱万丈」、悪い言い方をすれば色んな現場を「つまみぐい」するかのような働き方でもあったかもしれません(笑)。
海外に長くいたこともあります。
今から40年も昔の話ですが、当時は日本の高い技術力が買われ、発展途上国(開発途上国)のインフラ整備工事などに携わりました。昔は規制も厳しくなかったので比較的簡単に行けたんですよ。よく東南アジア諸国で仕事をしていました。
海外にいると、日本人の勤勉さがよくわかりました。
面白いのは、現地の人々は8:00始業なら8:00に来るんですよ。
日本人は7:00に来て準備を始める。1980年代の日本はアジア諸国から高い技術力のみならず、仕事への向き合い方も評価されていたのでしょう。
海外のインフラを作ってきたなんてすごいですね!
建設機械は今ほど充実していませんでしたし、現場は試行錯誤の連続です。
やり方が確立されていない時代に、どうやったらできるのかを考え、創意工夫でつくっていくわけです。
たとえば「CAD(設計支援ツール)」ひとつ使うにも、パソコンも種類がありません。今では考えられない苦労が至るところに転がっていました。
ただ、そんな時代だからこそ働くうえで夢が膨らみやすい環境にもあったことも確かです。海外の現場は国内の現場よりも、ずっと稼ぐことができた。
当時、サラリーマンの平均月給はだいたい25万〜30万円だったと記憶していますが、私の月収は100万円弱。年収1,000万円も全然夢ではありませんでしたよ。
加えて、赴任先の発展途上国は物価も安く、月3万円もあれば衣食住を含め満足な生活が送れます。
現地で貯めたお金があれば家を買うことだって難しいことではありませんでしたし、その気になれば豪遊することもできたでしょう。
土木施工管理技士の将来性とは?
【2】 40年で建設業界も会社も変わった
不便もあったが夢も膨らむ時代だったということですね。
当時と今とで建設業界はどう変化しましたか?
40年間、現場に立ち続けてきた平島さんの意見をお聞かせください。
正直なところ、これからの日本の建設業界は不安だらけです。
「若い人たちの未来に仕事はあるのか」……。最近そんなことばかり考えています。
というのは…?
まず、大きなプロジェクトがないですよね。
橋だって昔はなかったから作ってきましたけど、もうどこもかしこも橋がかかっていて、トンネルも繋がっている。
もっと言えば、世界広しと言えど未開発の地域は、南極大陸くらいしか残されていません。極端な話でなく、世界中で大きなプロジェクトは竣工済みなのです。
また、日本の工事現場を見れば分かる通り、前線では、かつて私がインフラを整備していた東南アジア諸国の方々が日本で汗を流しています。技術を覚えて国に持って帰るんです。
逆はどうでしょう。日本人は出稼ぎしないでしょう?
ハングリー精神が旺盛な人達が時間を掛けて少しずつ少しずつ増えていったら、強いですよ。日本が置いていかれてしまいます。
言われて見れば確かにそうかもしれません……。だんだんブルーになってきました……。
昔はイチから物を作っていましたが、今は何でもあるでしょ。
既製品を模範すれば何でも作って大量生産できる。
現場だって図面がきちっと用意されていますよ。どうやったらいいのか全部書いてあるんですよ。
だけどね、現場は図面通りにはいかないんですね。
その時必要なのが「考える力」ですよ。
何もないところから考える創意工夫を、学ぶチャンスは失われてきているかもしれません。
「三つ子の魂百まで」ではありませんが、手に職を付ければ食べていけた建設業界の働き方というのは変わりつつありますね。
土木施工管理技士の将来性とは?
【3】業界に土木施工管理技士が求められる理由
実は、今日は「平島さんのもとで働く方を募集する」旨の記事を作成する予定だったのです。
お話をお伺いしているうちに建設業界の抱える深刻な問題にただ呆然とするしか無くなってきてしまいました。
これから建設業を目指される方に希望はないのでしょうか……。
そんなことはありませんよ、希望はあります。
「土木施工管理技士」こそ今特に求められている職業です。
土木施工管理技士とは言わば現場のプロデューサーのような存在ですが、出来る人が少なく、仕事ができる人材に企業は高い給料も支払います。
私のところにも、いまだに色んな会社から手伝ってくれって電話が来ていますよ。いくらでも払いますからってね。
それは、まさに土木施工管理技士を目指している人にとっては将来性を感じる話ですね。
しかし、それならなぜ、土木施工管理技士が足りていないのでしょうか?
プロデューサーにたとえた通り、土木施工管理技士の仕事は現場全体の動きから、各専門職の作業工程までを広く知る必要があるのです。
デスクワークだけでなく、現場も知らないといけない。
育つまで時間が掛かる仕事なんですね。
昔ほどの大型プロジェクトは減少傾向にありますが、平成、令和と建設業界では人手不足が叫ばれています。
平島さんが持っている知識やノウハウを、誰かが継いでいかないと…出来る人がいなくなってしまいますよ!
そうだねぇ。
例えば、行政も工事の仕様書というのはあるものの、見てみると結構現場の視点が欠けていたりしてね。
間違っていたり、補足が必要な箇所が見受けられます。
それこそ、先日相談のあった埼玉県の歩道橋撤去工事は、より詳細な説明を求められたため後日改めてプレゼンをしにいく予定になっています。
また、最近大きなニュースにもなりましたが、住宅地でクレーン車の横転事故が発生しました。弊社の事故ではありませんが、警視庁に消防庁、レスキュー隊員などが駆けつける中、クレーンの専門家として弊社の人間も呼ばれて私も現地に向かいました。
どうやって撤去したらいいか、経験がないとわからないんですよ。
弊社から方法をご提案させていただきましたが、こうした緊急事態への対応という点でも次の世代の育成をなんとかしなければならないですね。
土木施工管理技士がいなくなってしまっては、人々の生活が守れないということですね。
それから、土木施工管理技士の面白いところは、決まった正解がないことです。
経験を積んで自分の引き出しを増やせば、やり方はいくらでも考えられる。
先日、コンテナのプレハブ事務所を50m移動したいというご相談がありました。
当初は建物を解体せずに移動させる「曳家(ひきや)工法」を検討していたそうなのですが、想定したよりも高額な費用だったということで、私の電話が鳴りました。
他にもいくつかやり方は考えられるので、これからご提案するところです。
平島さんは色んな現場を見てきているから、依頼主の希望に沿った提案ができるのですね。
「土木施工管理技士の育成」が建設業界喫緊の課題のひとつであることもお分かりいただけたはずです。
土木施工管理技士の将来性とは?
【4】土木施工管理技士 育成の姿勢
土木施工管理技士を育てる時に、大切にされている信条などはありますか?
人それぞれなんで、一概には言えませんが、
教える側にも、教えられる側にもそれなりの姿勢は必要だと思っています。
まず、学ぶ姿勢、仕事に喰らいつく気持ちですね。
私の隣の席にはね、海外留学の経験を持ち、エンジニアを志望していた若い社員がいます。
彼は格好つけずに、分からないことを先輩社員にどんどん聞き、20代前半で既に役所提出書類まで作成できるほど成長しました。
もう何も言わなくても勝手に仕事を進めてくれますよ。
それはすごい!どんな指導をされたのですか?
「仕事は覚えなくていい、どんどん見て文字に起こせ!」ですね(笑)
現場のあらましを文字に起こすなんて、誰も教えてくれないと思います。
でもそれが一番理解を深められる。
彼はね、「自分で現場を見てみなさい」と伝えると、素直に夜勤にもやってきて、歩道橋撤去の様子を観察していました。
「歩道橋が一晩で無くなるなんて、どうやってるんだろうって思ってたんですよ!」なんて言ってね(笑)
余談になってしまいますが、彼のお父さんはゼネコンに勤めているそうですが、現場を見に来た後、「父親の苦労がわかりました」と話していて、ああ、連れて行ってよかったなと思いましたね。
人によっても指導は変えられるのでしょうか?
叱って拗ねられても困るし、褒めすぎて調子に乗られるのも困る。難しいところです(笑)。
強いて言うなら、会社の後輩というだけでなく、「個人」として向き合うことを心掛けていますね。
ただし、安定して成長できる環境を整えてやることは大切なんじゃないかと感じます。
人間は苗木と違って、水さえやっていれば成長する。なんてことはありません。
食べて行かなきゃならないワケですから。ちゃんと衣食住を安定させ、将来への道筋を立てることが大事なんです。
この業界はどれだけ機械が進化しても、人の手が現場を動かすんです。パソコンで現場を動かすことはできない。
「仕事は見て盗め」と、よく言われます。しかし、自分は若い頃その言葉の意味が全く分かりませんでした(笑)。
目の前に盗むべき技術があることを理解できるのは、ずっと後から。点と点が少しずつ繋がっていくんです。なので頭ごなしに「見て盗め」なんてことは、言ってもあまり意味がないような気もしているのです。
今の私のこの頭が30年前にあれば、すごいことになっていただろうなと思うときありますね。
それは誰もが一度は考えるんです、平島さん!(笑)
ハハハ!(笑)そうですか!
それから、丸良興業の社長、虻川は視野が拡い人間です。
バイキングの食事で例えると、多くの人は美味しいと思ったものを何度もおかわりしてそればかり食べる。虻川は少しずつ色んなものをつまんで、一つ一つ食べながら、あーだこーだと考えるタイプですね。色々試してみる。
そういう人間がトップにいるからこそ、もっともっとこの会社は伸びていくと思いますよ。
土木施工管理技士の将来性とは?
【5】日本を作った土木施工管理技術を継承する者を求む
今回のインタビューを通して、土木施工管理技士の将来性をお伝えできたのではないかと思います。最後に、一つ。
平島さんの元に来る、土木施工管理技士を目指す人は、未経験でもいいのでしょうか?
当然です。いいですよ。
2019年にお亡くなりになられた中村哲医師をご存知でしょうか?
難病・難民問題の解決を志し、総長25kmの用水路工事を先導したことで知られる偉人です。
彼の引いた水路は約10万人の農民の生活基盤を形成しました。
中村氏の偉大な功績、そして水路工事に着手した年齢が60歳を過ぎてからであることにも驚かされます。
映像で見ましたが、彼の統率の取れた施工管理には感嘆しました。
朝礼もやっていたんですよ。
突然こんなことを言い始めたのは、他でもありません。
やろうと思えば誰にだって出来るということです。
未経験であったとしても、私も丸良興業も、あなたの成長に協力を惜しみません。
約40年建設業に携わり試行錯誤してきた分だけ、伝えられることはあると信じています。
土木施工管理技士を志す人、より高みを目指したい人はぜひ一度連絡してきてほしいですね。
ありがとうございました!
建設業を志すのであれば、これだけの知識経験ある平島の元で働いてみませんか。
「建設で日本を変えてやる!」と気概を持つ人材を弊社はお待ちしております。
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